原子と元素って何がどう違うの?分かりやすく解説してみました。
皆さん、原子と元素の違いってご存知ですか?
今回は原子と元素の違いについて、分かりやすく説明してみようと思います。
原子ってなに?
物を限界まで分けると…
「物を限界まで小さく分けていくと、どこまで小さくなりますか?」
この質問の答えが、まさに「原子」なんです。
物質を細かく分けていくと、当然どこかでそれ以上分けられなくなります。
限界まで分けられた小さな粒が「原子」と呼ばれているものです。
物質を構成する最も小さい単位が「原子」であり、木も石も、皆さん自身も、あらゆる物質は原子から構成されていると言えます。
原子より小さいものもあるの!?
原子は物質を構成する最小単位なのですが、実はこれ、説明が一部省略されています。
より正確には「原子は物質を構成する、特有な性質を維持できる最小単位」なのです。
実は、原子は内部構造を持つことが分かっており、原子よりも小さな粒が確認されています。
それが電子や陽子、中性子と呼ばれるものです。
しかし、物質としての性質が決まるのは原子、または原子が複数集まってできた分子の状態であるため、物質を構成する最小単位は原子とされています。
すべての物は同じ原子から出来ているの?
どんな物質も原子から構成されていますが、同じ原子から構成されているかというと、そうではありません。
原子はある1つの粒を指す言葉ではなく、総称なのです。
原子には様々な種類があり、それら種類を表すものが「元素」です。
元素ってなに?
原子の種類のこと!
「元素」は原子の種類のことであり、「それぞれの原子に付いている名前」のことです。
文字だけで理解するのは難しいと思うので、水を例に挙げて整理してみましょう。
まず、Hというのは水素原子、Oというのは酸素原子のことです。これらのアルファベットは「元素記号」と呼ばれ、全ての元素に割り振られています。
水を「原子」を用いて説明すると「水を構成する原子は2種類あり、水素原子と酸素原子である。」となります。
また、「元素」を使って説明すると「水は水素と酸素の2つの元素から構成されている」という風になります。
色と色鉛筆で例えてみると分かりやすい!
「原子」が「色鉛筆」、「元素」は「色」だと思ってください。
水素を青、酸素を赤、紫を水だとしましょう。
すると、水素原子は青鉛筆、酸素原子は赤鉛筆ということになります。
「紫を作るには赤鉛筆と青鉛筆を使います。」
「紫は赤と青を混ぜ合わせたものです。」
どちらも正しい文章ですよね?
これが先ほどの説明文と同じことを表しています。
なんとなく、違いは分かっていただけたでしょうか?
周期表ってそういうことね!
すべての原子には「元素記号」と同様に「原子番号」が振られています。それらを周期的に並べたのが元素周期表です。
化学の教科書に必ず載っているので、皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
原子番号は適当に決められているわけではなく、原子の内部にある陽子と呼ばれる粒の数によって決められています。
詳しくはまた別の記事で。
エレメントって聞いたことある?
元素は英語で「element(エレメント)」と言います。
RPGやファンタジー作品が好きな方なら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
原子が発見される以前、古代インドや古代ギリシアでは「万物は火、空気、水、土の四大元素からなる」という思想が伝わっていました。
古代中国でも「万物は火、水、木、金、土の5つの元素からなる」という五行思想が存在していました。
現在では、「元素」は原子の特性の違いを示す言葉ですが、原子が発見される以前は元素こそが万物の根源と考えられていました。
科学の発展に伴って意味が変化した言葉なのですから、ややこしくなる訳です。
なんで「ゲン」の漢字が違うの?
「原子」と「元素」、意味も読み方も似ているのに「ゲン」の漢字が違いますよね。
気になったので少し調べてみました。
それぞれの文字の意味は?
「原」の意味
①もと。おおもと。はじめ。おこり。「原因」「原始」 [類]源
②はら。広くて平らな土地。「原野」「草原」
③たずねる。
④ゆるす。罪をゆるす。「原宥(ゲンユウ)」
⑤「原子力」の略。「原発」
出典:goo辞書
「元」の意味
①もと。根本。「元金」「元素」 [類]原
②はじめ。はじまり。「元祖」「元日」
③あたま。くび。「元服」
④おさ。つかさ。第一の人。首長。「元勲」「元首」
⑤年号。「元号」「改元」
⑥中国の王朝名。「元寇(ゲンコウ)」
⑦中国の貨幣単位。
出典:goo辞書
どちらにも「もと」や「はじめ」といった意味があります。
意味としての違いは無さそうです。
どっちでも良いの?
意味が同じなら「原素」や「元子」でも良いはずです。
ということで「原素」を検索してみると…
げんそ(原素)
「元素」に同じ。
出典:コトバンク
「元素」と同じでした!!!
「元子」はというと…
げんし(原子・元子)
① 物質を構成する基本的な粒子で化学元素としての特性を失わない最小の微粒子。一個の原子核とそれをとりまく何個かの電子とから構成される。大きさは半径 10-10m 程度。原子の化学的性質は主としてそれのもつ電子の個数で定まる。
② (通俗的に)原子核。
③ 〘哲〙 ギリシャ哲学で、これ以上不可分と考えられた、事物を構成する微小存在。アトム。 〔「和英語林集成三版」(1886年)に訳語として atom と載るのがこの語の早い例。明治期には「元子」とも書かれた〕
出典:コトバンク
こちらも「原子」と同じでした!!!
結局、どっちも同じ!
なんと、どちらでも良いということが分かりました。
科学の世界では「原子」「元素」が用いられるので、こちらを使うことをおすすめします。
まとめ
ということで原子と元素の違いについてまとめてみました!
「 原子は物質を構成する最も小さな粒のことで、元素はその種類を示す言葉である」ということが、なんとなくでも理解していただけたなら幸いです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。